「声がする。あなたの弟の血が大地からわたしに叫んでいる。」
この一日に終わりは来ないだろう
陽は垂直に上昇し再び帰らないだろう
明け染める紅は東天の栄光を返上するだろう
日も月も年も円環の巡りを放棄するだろう
もう肩車もできない
ぼくは
こどもたちが怖がらないように
そっと後ろから近づく
血が燃える音がする
ぼくの頸動脈から
宇宙が漏れ出す音が聞こえる
砂漠に降り注ぐ
流れ星の歌う声が
「おまえの弟はどこにいるのか?」
*
首の無い天使が
愛を願わなくなった
「日本人」の肩に
そっと手を置く