アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

惑星(第二稿)

詩と死王
恐怖こそが問題だった
夢の皮を一枚一枚めくっていくだけではすまされない
それは夜の街だ
凍える肉體
月光こそが恐怖だ

ぼくの頭のなかには海があって
ひとつの惑星が浮かんでいる
なんて余白の多い惑星だろう
孤独な惑星は余白に書き込まれる言葉を待っている

二年前の夏に感じた恐怖(尖っていた)が違う形になってきた。それは(より潜在的に)拡がって地下に潜った。S博士によればそれは人々の魂を分断しずたずたに裂くはずのものであった。分断され裂かれた魂と魂を架橋する月光橋が昨日は見えた。今は恐怖を感じられなくなってしまった。それこそが怖ろしい。直接手を下さなければ殺人は許される? 因果の橋を過ぎていく。因果の鎖を伝って降りて行く。無数の黒い影たち。末端に待っているのは『彼』だ。連鎖する因果の発端に立つ。痴愚者? 悲劇? われら!

 *

肉體の和声を聴くこと
そのための形になること
それはあたたかい珈琲カップを包む掌の形に似ている
「しかし謎は正にこれから始まるのではないか。」 
内側の明朗さを隠している外側の陰鬱が破れるとき
破顔!
新しい惑星!