アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

死と星雲 ー 営業マンNのために (改)

秋が去るとき
世界は
冷たい水で満たされ
夥しい光の矢に射貫かれ
肉体は
魂を置き忘れそうになって
慌てて舞い戻る
紫色の地球に
ただし歩いて

生活
死の飽食
死を食べ続け
食べきれなくなったとき
人は死ぬのだ


舗道の枯れ葉宇宙
或いはカント・ラプラスの星雲説
今度は地球の外から
死んだ営業マンは眺める
「太陽系生成における夥しい会計的錯誤に神々が気づいていないことは実に愉快だ」

土星紀、物質属性は未だ存在せず、ただ熱だけがあった。熱、或いは火、動き回る熱たち。つまり、始めに熱があった。熱とガスの結婚、それが太陽紀の始まりである。火と熱の世界に雨が降り始める、月紀開闢。地球紀、太陽の離脱、固化、地のエレメント。

穏やかな象のような細い目で
君はこの地上に何を見ていたのか?
君の顔を赭く照らしていた月紀の残照
君の美しい声から夥しい数の如来が出現したとしてもぼくは驚かなかっただろう

「Nさん、次の納品はいつですか?」