アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

剣について (改2)

あなたの盛り上がった傷口の上を
日傘をさした婦人たちが通り過ぎる
そこにどのような天使たちの介在があったのか

 真っ白い落下傘が大空に花開くとき
 君の死が隠蔽される

耳もとに落ちていく風の音
シューベルト弦楽四重奏曲第十四番ニ短調
 
 出会わないことが悪であり
 あらゆる出会いは善である

大きく花開く花弁が遮蔽する死を
つぼみのまま墜ちた君はその目で見た

 それは大空の殉教者会議

手に手に蛮刀を握りしめる
少女たちの腕に力を与える聖痕
自らカミソリで刻みつけた傷口から
世界に注がれる血
世界の秘密の場所に開かれた傷口について

 つまり開花する数百のパラシュート

バルザタール・フープマイヤー博士

 剣について

赤い聖痕の贖宥状
中世の剣は重く鈍重だ
君の首が飛んで世界は明るくなる