アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

薔薇

胸のなかに薔薇が咲く
影絵のような生のさなかに
花開く
一輪の薔薇に
私の指は触れることができない
見えない棘が吸い続ける
血の色をした薔薇の花弁に
私の唇は触れることができない

この生に目醒めることは永遠の謎だ
私の生の廃園のなかで
汚れた月光の照らす世界で
一輪の赤い薔薇だけがひとり
いつまでも枯れることがない