アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

高空から堕ちる夢

なぜだか分からない。旅客機の飛行するような高空に身を投げ出している。眼下に広がる下界。海に堕ちると思った。堕ちた先で救助してもらうには位置を知らせなければならない。すると、視界の周りに水平垂直方向のスケールがあらわれたので、東経何度、北緯何分、のような情報を読み取って、救助の通信を試みた。自分でも、これは携帯電話だろうかと訝しく思うが、落下速度の方が早く、すでに下界に到達しており、工業地帯のような大きな道路の並木の上を、高速で水平に飛んで行く。樹々の樹冠をかすめながら、少しずつ減速しているようだった。