アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

ヘーゲル"哲学史講義” A.プラトンの哲学  ”ヘーゲルにとっての国家、世界精神”

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国家体制をつくりだすには理論だけでは不十分だし、
国家体制をつくるのは個人では無い。

国家体制とは、
歷史によってつくりだされる神々しいもの、
精神的なものなのです。

国家体制をつくりだす世界精神の力にくらべれば、
一個人の思想など無にひとしく、
かりにそれが力を得て実現されたとすれば、
それを生み出した力は共同の精神の力にほかならないのです。

プラトンを立法者にしようという思いつきは時代にあわないものだったので、
ソロンやリュクルゴスは立法者になれたが、
プラトンの時代にはそういうことは不可能だった。
プラトンがいくつもの国家の要望を受け入れようとしなかったのは、
それらの国家がかれの出した第一条件に同意しなかったからで、
その条件とは、
一切の私有財産の廃止ということだった。

 (長谷川宏訳 ヘーゲル哲学史講義・中” 河出書房新社 1994年2月20日再版)

戦前日本の国家観にも通底する問題をはらむ部分です。皇国史観ヘーゲル哲学の関係はどのようなものだったのだろう。大川周明ヘーゲルに通暁していたのは当然ですが。少しずつ勉強していきたい。