アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

トビト記14.14-15

トビアは百十七歳の天寿を全うした。彼は死を迎える前に、ニネベの町の滅亡を見聞きしたのである。また、メディアの王キアクサレスが捕らえてメディアに連れて来た、ニネベの捕虜たちの有様をも見た。ニネベとアッシリアに対して神がなされたすべての事のゆえに、トビアは神をほめたたえた。彼は息を引き取る前に、ニネベに起こったことを喜び、とこしえの主なる神を賛美した。

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トビトの息子トビアは、トビトの遺言「ニネベは滅亡する、メディアに逃れよ」に従い、上述の結末を迎える。トビト記では、大天使ラファエルに導かれた義人トビトの家族の物語が、ほとんど童話のような雰囲気で、淡々と語られるのだが、この結末の言葉に虚を突かれた。この最後の言葉が無ければ、トビト記に後世に残る文学的な意味が見いだせないのでは無いかと思った。もちろん、敬虔な基督教徒の感想は全く別に違いないのだが。ちなみに、トビアの妻になるサラを、トビアと大天使ラファエルに救われるまで苦しめた悪魔の名をアスモダイと言う。