アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

社會黨は既に社會が一種の有機體なることを解せり

一千八四七年、
マルクスが其友エンゲルスと共に、
有名なる「共産黨宣言書(マニフェスト、オブ、ゼ、コンミュニストパーチー)を發表して、
所謂階級戦争の由来歸趣を詳論して以て萬国勞動者の同盟を呼號してより以来、
社會主義は嚴乎として一個科學的繁義(ドクトライン)となれり、
又舊時の空想狂熱に非ざる也。
社會黨は既に社會が一種の有機體なることを解せり又自己腦裡の模型に従って之が改造を企つる者ある無きなり。
彼等は歷史の進化を信ぜり、
決して一日にして其革命の成功すべきを夢みる者に非ざる也。

幸徳秋水「社會主義神髄」第六章 社會黨の運動 より

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秋水の社會主義が、社會有機體思想を孕んでいたこと、これは大きな発見だった(社會黨は既に社會が一種の有機體なることを解せり)。マルクスエンゲルスに社會有機體という語彙があるだろうか? ルソーには既にそういう観念があったような気がするので、要確認です。今回はできるだけ原文に忠実に、旧漢字で写してみました。