アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

星の旅

バイコヌール空軍基地から
宇宙船に乗って
遠い星まで飛んで行く

本当は
君の部屋の窓硝子に貼ってあった
銀紙の星が欲しかっただけなのに

どうして
こんなことになってしまったんだろう

その星には
もうひとりのぼくがいて
ぼくに会いたがっているという

人生は悲しいからいいんだ
人生は孤独だからいいんだ

もうひとりのぼくは
世界の涯で轟音を響かせる
センチメンタルな瀑布だった

    *

勇気という銘の刃
鋭角的なその切っ先を
ぴたっと身に寄り添わせ
重力に任せて
深淵に躍る

星が砕け
宇宙が脱臼し
光が溺死する

そしてもう一回

今度は君の番だよ!