アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

包帯デモのためのスケッチ その7

十九世紀の哲学は云う
決闘を受けて立つことでしか
世界精神の発展はあり得ないと

定言が否定を含み
言葉がギザギザの輪郭で
もう一つの言葉をなぎ倒そうとするとき

私は街角に立ち
躊躇し
呻吟しながら
叫ぶことを選ぶだろう

原発が日本を滅ぼす

放射能拡散は
麗しき山河を蹂躙し
大地を
海を
自然を冒涜することだ

権力に美学無き時代
沈黙は青銅の首枷に等しい

友よ
同胞たちよ
自らの判断を
自由を行使せよ

政治
経済権力に
直接向き合うヴェクトルの言葉と

仲間に向けて
人々に向けて
横向きの
二次元のヴェクトルをもつ
認識を共にするための言葉を

分かち合おうではないか

言葉が時代精神に共鳴するとき
それは減衰しない
伝播する
人と人との横のつながりの中で

それが時代の精神なのか
われわれは絶えず問い続けるであろう

絶望即希望
絶望の弁証法だけが
私の中に
光を産み出す