蝶の館にて
私は言葉のプロレタリアートなのだ
自分という謎の箱の開け方を知らない
言語帝国の奴婢として
誰そ彼のなかで
つかの間
休息を盗み
同志からの繊細な電波を浴びる
言葉の徴税人が
夢のなかまで追いかけてくる
私は五百円のつもりで一円を支払う
いきり立つ彼は
私のIDを要求したが
私の財布から出てくるのは
「デモ参加のIDカード」ばかりだ
徴税人の館に連行される
赤と黒の蝶々が
群論に従って
高度なシンメトリーを保ちつつ
床を埋め尽くす
私には足の踏み場がない
言語帝国の脳髄には黒い思惑が
私の脳髄に甘い夢を滴らす
新世紀
赤剥けた世界よ!