アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

茨城県稲敷市では物資の窮乏

自宅から職場まで25kmは車で行く他にない。途中のコンビニ(牛久市)に寄ると、食品棚が見事に空っぽになっている。節電に協力しているらしく、冷蔵庫や冷凍庫の照明も落とされている。コンビーフ(馬肉)の缶詰、桃屋の「やわらぎ」、インスタントのポタージュスープ、缶コーヒーを買って、おばさんに何もないねと言うと、ガソリンスタンドで長蛇の列という話だった。茨城でもそうだとは、うかつなことに知らなかった。おばさんはガソリン節約のため、自転車で来たという。地に足が付いた生活者、さすがだ。普段、話をしたこともなかったが、こういうときに、逆に人間の距離が狭まるのかもしれない。テレビでは得られない貴重な情報だった。
停電でATMが使えない場合、現金に困ることになるので、今のうちにと思い、わずかな有り金を引き落とす。更に、このところ続いた海外出張用に持っていた米ドルとユーロも地元の常陽銀行で円に換金しておいた。確かに、地元のガソリンスタンドは、ロープが張られて、売り切れの紙がぶら下がっていた。こうなれば、貴重なガソリンを温存するほかにない。職場のサーバーは相変わらず復旧せず、メールもつながらないし、電話も通じない。職場の同僚の携帯電話も混雑のせいか通じなかった。今日は出勤しないことにする。スーパー・タイヨーは外壁が崩れ落ちていて、高い屋根の上で、作業する人がいた。未だ余震もあるので、危険な作業である。既に停電を見越して閉店だった。中を覗くと、やはり、食品棚はかなり空きが目立つ。
銀行で用を足してから、名物の饅頭屋が開いていたので、三個買う。原料など不足していないかと聞くと、大丈夫で、明日も店はやるという。それならこれからは饅頭で生き延びることにしようかなと言ったら受けた。よろしく御願いします。と言って頭を下げられる。見上げた商売人根性だ。
今(夜十時前)、テレビで、二号炉が再度空焚きの状態になったと言う報道があった。その深刻な報道のさなかに、フジテレビ女子アナウンサー原発増設論を東工大の何とか言う専門家から引き出そうとしていた。これも見上げ(果てた?)根性である。遊女ラハブの末裔と言うよりも、今日本人こそが、他国に先んじて文明の転換を促されていることに気がついていない旧文明派と呼ぶべきだろう。