アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

夏(第二稿、「夏に寄せて」改題)

ベートーヴェンの謹厳な面持ちで目が醒める
夏の朝
饒舌な光
水蒸気の遠近法
ブルース・スケールを拾って歩く
雲の階梯
正午の影を踏む
ヨハネス・ケプラーの頬笑み
逃げ水の涙は盬辛い
鸚鵡貝の唇
泥蝉の幼生
老いた背中を割り
抜け出てくる
死美人の晴れやかな顔
乾杯!
古代給水塔を飲み干す
チコ・ブラーェの付け鼻
のシルバー
奇怪光學の深夜
アンタレスの臥所に眠れ!