アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

風邪でダウンし、鈴木邦男「公安警察の手口」を読む。公安警察(=秘密警察)国家のカタストロフについて考える。 

土日の出張の後、水曜日までは鼻水を垂らしながら働いたが、昨日は休んで、家で寝ていた。今日も欲張らずに休むことにする。寝床で、鈴木邦男公安警察の手口」読了。この本は、実は途中までしか読んでいなかったのだ。最後まで読まなければ、この本の場合、その本質にたどり着けない。不覚だった。

公安警察(=秘密警察)に維持される国家が最後には呆気なく崩壊することが、旧ソ連東ドイツベルリンの壁崩壊でわれわれが学んだことだった。カタストロフは、それが起きるまでは、普通の日常が続くと言うことも、311でわれわれが学んだことだった。この本はベストセラーだと思うが、今こそ多くの日本人に読まれるべきだ。普通の市民がデモに行く時代になった今こそ、読まれるべき本だ。日本の民主主義を成熟させるためにも、学校の社会科、公民の副読本に採用すべきだ。異常な警察国家である日本を、デモに参加した一般市民が自覚する時代がようやくやってきた今こそ、この本は読まれるべきだ。子供の頃から内ゲバのカラクリを学んでおけば、将来公安警察が(心理的な)工作を仕掛けてきても、平然と対処できる立派な市民になれるだろう。これは冗談ではなく、「市民」の常識として必要なことだ。今は、腐敗した官僚、政治家、知事、大企業幹部、テレビ文化人、エセ学者、その他その他の特権階級が原発利権にしがみつくことで、市民の命が脅かされている時代だ。いつ国家のカタストロフが起きてもおかしくはないと誰もが感じ始めている。

思想家鈴木邦男の起こした言論的革命は、旧来の左右の壁を崩壊させたことだった。それがどのような形で鈴木個人に受肉したかが、この本を読むことで理解できるだろう。身体を張った個人的な(苦々しい)経験が紡いだ思想であることが重要だ。その意味で、鈴木とは立ち位置は違うし、私にはまだその本質がよく分からない新国家主義的な(?)佐藤優と双璧であると思うので、今後とも二人の活躍には要注意である。

公安警察の手口 (ちくま新書)

公安警察の手口 (ちくま新書)

蛇足。
わたし「佐藤優が甲冑で身を固めているとしたら、鈴木さんは着流しだね」
子供「いや、パンツ一丁だよ」