アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

聖ヨハネの惑星/或いは不二の光

関係代名詞
連鎖するアレゴリー
読み解かねばならぬ
世界は詩のように書かれている
それが悲劇であっても
コロスは唄う慟哭
あのとき
陽の光が
膝の上に堕ちて溶けた
翼の生えた関係代名詞が
膝の上で死んで
ぼくを慰める
熱になった

目に見えないものの臨在が
心臓の上で
詩と重なる

 Die Sprache hat nicht nur den Geist,
 der sich äußert im Inhalt der Worte,
 die Sprache hat auch eine Seele.
 言語は言葉の内容に現れる靈を持つのみならず
 ひとつの魂をも持つのであります

自ら発光しない惑星ではつねに昼と夜が同居している。「唯一の太陽」が世界の両極性=陰と陽を生成し続ける。しかし太陽が二つある世界ではどうだろう? 夜を知らない。唯一の昼に支配される惑星。連星系の生命は眠らない。西の空に日が沈むとき。東の空にもうひとつの太陽が現れる。あらゆる影の消滅。

書物たちが呼吸している
「唯一の太陽」の夜
”帝国”を呪う書物が
”帝国”を呪い殺す
パトモス島のヨハネ
たとえ”命の書”にわが名は見出せずとも
”命の書”に名を隠す者たちは飛行し続ける
不二の太陽に照らし出されながら

「われ一人だに亡ぶるを許さず」

   *

不二とは数からの開放を意味する。仏教が建てる「法」はいつだとて有無の二を許さぬ。無に対する有の如きは、畢竟二元を出ぬではないか。それ故無にも落ちぬ。「法」は不二を見届けてのことである。 不二は無碍(むげ)であって、相対の名辞を越える。(柳宗悦南無阿弥陀仏』)。

  黒い
     無限の
 明滅
        yes/no
  yes/no
       yes/no
              呼吸する
  二進法の累積は
               「法」にたどりつけない
   Artificial Intelligence
       
           永劫に遅刻する
     <<<<<<阿彌陀佛の光