アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

惑星(7月の改稿)

恐怖こそが問題だった
夢の皮を一枚一枚めくっていくだけではすまされない
夜の街
凍れる肉體

月光こそが恐怖だった

ぼくの頭のなかには海があって
ひとつの惑星が浮かんでいる
なんて余白の多い惑星だろう!
孤独な惑星は余白に囁かれる言葉を待っている

冬の恐怖は違う姿であらわれる
それはこぼれたミルクのように拡がり浸透し
(S博士によれば)
人々の魂を侵食し引き裂く
(はずであった)

魂と魂を架橋する
無数の月光=光束が見えた
今は!
恐怖を感じることができない

自ら手を汚さない殺人が許される
因果の橋を通り過ぎる黒い影たち

因果の鎖を伝い降りて行く
終末を待つ者

無限連鎖する因果の発端に立つ

 *

肉體の和声を聴くこと
そのための形になること
それはあたたかい珈琲カップを包む掌の形に似ている

「しかし謎は正にこれから始まるのではないか?」
 
内側の明朗さを隠している外側の陰鬱が破れるとき
破顔!
新しい惑星!