アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

魂の機械(七月の改稿)

淋しい 秋の 魂の機械に
真珠貝のキイを叩く
青い指先
霧深い 薄暮の指令

〈1〉魔女キルケを探し出し 豚に変えてもらうこと
〈2〉ルターの信仰義認・ミュンツァーの律法義認・ノマの行動義認 すべてを蹴飛ばし 阿鼻叫喚の石段を駆け下ること
〈3〉処女水にて再生
      
    → 即ち

〈1'〉人の道を離れ
〈2'〉革命を遂行し
〈3'〉あるす・あまとりあに至れ!

  *

夜の塊に灯が点る
スターバックス・コーヒーの片隅で
独逸農民戦争から放射能千年王国運動へと至る
一直線の道を駆け抜ける 豚こそが私である

十二時閉店
深夜の乳母車に乗り
阿鼻叫喚の石段をガタガタと墜ちていく
夜の執政官 夜の提督 夜の百卒長 
夜のピアノたちが追いかける
魂の乳母車を
見ているのは深夜の地平線

生成 
袋角 
橋姫 
霊女 
痩女 
孫次郎
小面 
翁 
瘤左衛門 
飛出 
霊男

赤ん坊をあやす 戦乱の仮面たちよ!
私たちの奴隷根性は未だ熟していないままです
処女水 オーケアノスの激流を下る乳母車を
十万の歩兵 二万の騎兵
三十二頭の戦闘の象たちも
ただ見送るばかりであります

  *

三途の川で胎児受洗
すべて被造物は虚無に服す?