アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

白昼の屍は自らの力で復活する
降りしきる雨の中で
あらゆる紙と文字を溶かしてしまう輝く雨の中で
白昼の屍は自らの力で復活する
苔生す古代図書館の巨岩の圧力の下で
霧深いクスコの山頂で
自らの心臓を鷲掴みにしながら
白昼の屍は自らの力で復活する
溢れ出る地中の洪水の中で
「主よわが穢れを清めたまへ」
「主よわれらが穢れを清めたまへ」

地中の屍は自らの力で復活する
溢れ出る地中の洪水の中で
眩い氷の壁を破砕しながら
「雨の神チャック・モールは偉大なり!」
女装のチャック・モールが地中の扉を叩く
溶け落ちる燃料棒滴る超古代文明
燃える地中の城
チャック・モールが扉を叩き続ける
四十六億年の時間の洪水の中で
「もし、人々が、この家の主人をベエルゼブルと呼んだのであれば、彼らはなおさら、その家の者たちをどんなにか悪し様に言うであろう」
地中の屍は自らの力で復活する
汚物神の家の中で
悪い夢から目醒める
炎上する地中の城で
そのときチャック・モールは気づく
初めから扉など無かったことに
「だから彼らを恐れるな。なぜなら、隠されてしまったものでも、あらわにされずにすむものはなく、また隠れているものでも、知られずにすむものはない」

夜明けの屍たちが復活する
降りしきる雨の中で
あらゆる紙と文字を燃え上がらせる炎の雨の中で
夜明けの屍たちは自らの力で復活する