アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

2017-07-18から1日間の記事一覧

嘘について(七月の改稿)

書くことは世界から孤立した事象であって、 書かれたことそれ自体にしか勝利も救いも無い。 言葉と宇宙の等価性。 しかし今やだれがそれを信じるというのか? ロゴスの孤独。 もはや自らそれを引き受けること以外に栄光は無い。数学も哲學も”言葉”で世界をつ…

ランゲの首(7月の改稿)

すでに朝日の射す部屋には血の匂いが立ち籠めていた。 病気の猫の身体が血の分子になって部屋の大きさにまで拡大、 飛散していたのである。 エーテル化した猫の身体の中で、 朝日を浴びるぼくの思念は集中と拡散を鼓動しながら、 宇宙の生命の輪郭に触れよう…

時間について(七月の改稿)

現在〈Dasein〉とは未来と過去を切断する『虚』であって、われわれは肉体によってこの『虚』にピン留めされている標本のようなものである。標本が生命を吹き込まれる。『虚』から開放される。未来も過去もないひとつながりの時間のなかに。それが死である。…